こんにちは、ともひろです。前回は炭水化物が子どもの活動を支えるエネルギー源だとお伝えしました。今回は、その炭水化物が体の中でどう使われるのかを、タンパク質シリーズと同じようにしくみから見ていきます。
前回のおさらい
前回は、炭水化物が「体と脳を動かす主なエネルギー源(ガソリン)」であること、ご飯・パン・めんなどの主食が中心で、切らすとガス欠=バテや集中力の低下につながることを見てきました。
「炭水化物はエネルギー源」と分かると、次にこんな疑問が出てきます。「食べたご飯は、どうやってエネルギーに変わるの?」「朝ごはんを抜くと元気が出ないのは、なぜ?」と。今日は、その答えになる体の中のしくみを、やさしくのぞいてみましょう。ここが分かると、お子さんの食事を整えるときの“なぜ”が腑に落ちてきます。
この記事で分かること
- 食べた炭水化物が、エネルギーに変わるまでの流れ
- 「グリコーゲン」という体の貯金タンクのこと
- 朝ごはんが大切な理由、練習でバテる理由
- だから「こまめな補給」が大事なわけ
食べた炭水化物が、エネルギーになるまで
ご飯やパンの炭水化物は、そのままの大きさでは体に取り込めません。まず、体の中で小さな粒に分解されていきます。

流れは3ステップです。食べた炭水化物は、胃や腸で「ブドウ糖」という小さな粒に分解され、小腸から吸収されて血液にのります。この血液の中の糖が「血糖」です。そして全身に運ばれ、体や脳を動かすエネルギーとして使われます。タンパク質のときと似ていますね。大きいものを小さくほどいてから体が使う、というのは栄養の共通ルールなのです。
余ったぶんは「グリコーゲン」で貯金される
食べた糖は、全部すぐに使われるわけではありません。その場で使いきれなかったぶんは、「グリコーゲン」という形にして、肝臓と筋肉にためておけるのです。これが、体の貯金タンクです。

タンクは2か所あります。肝臓のタンクは、血糖を一定に保って脳の燃料を切らさないために働きます。実は、ここが「朝ごはんが大切」な理由とつながっています。寝ている間にこのタンクは少しずつ使われるので、朝には残りが少なくなっています。朝ごはんを抜くと、脳のガソリンが足りないまま午前を過ごすことに。だから、朝の一杯のご飯やパンが、午前中の集中力を支えるのです。もう一つの筋肉のタンクは、運動するときの燃料。お子さんが泳ぐ力のもとになります。
大事なのは、このタンクはそれほど大きくないということ。体はエネルギーを無限にためておけません。だからこそ、朝・昼・夜とこまめに補給して、満たしておくことが大切になります。
練習でバテるのは、タンクが空に近づくから
このしくみが分かると、「練習の後半でバテる」理由も見えてきます。泳げば泳ぐほど、筋肉のタンクのグリコーゲンは減っていきます。タンクが空に近づくと、頑張ろうとしても力が出にくくなる——これが、バテの正体のひとつです。

だからこそ、「練習前にためておく」「練習後に満たす」が活きてきます。練習前に主食でタンクを満タンにしておけば、最後まで力が続きやすい。練習後に補給すれば、減ったタンクが回復して、次の練習や翌日につながります。前回お話しした「主食を切らさない」「補食で補う」も、根っこはこのタンクを空にしないため、なのです。
しくみが分かっても、朝の食卓では「食べてくれない」が起こります。そこで、完食を目標にせず、朝と練習後のどこに小さく置けるかを見てみましょう。
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このミニUIの数字は、食事や準備を考えるための目安です。体格、成長段階、体調、練習量、食物アレルギー、服薬、競技ルールによって合う形は変わります。気になることがある場合は、保護者、指導者、医師、管理栄養士に相談してください。
※このツールの数字は、食事を考えるための目安です。体格、成長段階、体調、練習量、食物アレルギーによって合う形は変わります。気になることがある場合は、保護者、指導者、医師、管理栄養士に相談してください。
よくある誤解「貯金できるなら、一気に食べれば?」
「タンクにためられるなら、夜にまとめて食べさせれば?」と思われるかもしれません。でも、ここが落とし穴です。タンクの大きさには限りがあるので、一度にたくさん入れても、入りきらないぶんは貯金になりません。むしろ、朝・昼・夜とこまめに入れて、1日を通して満たしておくほうが効率的です。とくに、見落とされがちな朝ごはんは、肝臓のタンクを満たし直す大切な一食。「まとめて」より「こまめに」、そして「朝をしっかり」。しくみが分かると、その意味がすっと腑に落ちてきます。
お子さんの朝ごはん、しっかりとれていますか?
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。最後に、ぜひ聞かせてください。
- 朝ごはんで、主食(ご飯・パンなど)をしっかり食べられていますか?
- 練習でバテやすい日と、朝・昼の食事に関係はありそうですか?
- 朝、食が進まない時の、ご家庭の工夫はありますか?
ご家庭の気づきが、他の保護者の方にとっても、私にとっても学びになります。コメント欄で気軽に教えてください。
しくみを、毎日に置きかえると
「タンクを空にしない」という考え方を、お子さんの一日に当てはめると、こうなります。
- 朝の主食は、寝ている間に減った肝臓のタンクを満たし直す一食。食べにくいお子さんには果物や飲むゼリーでも
- 1時間を超えるような長めの練習・二部練の日は、途中で“継ぎ足し”できるエネルギーゼリーや補食をバッグに
- 二部練や翌朝練など、次の練習まで時間が短い日は早めに主食を。8時間以上ある日は急いで詰め込むより、夕食まで含めて必要量を戻す考え方で大丈夫です
この記事で分かったこと
- 炭水化物は「分解→吸収→エネルギー」の流れで力に変わる
- 余ったぶんは「グリコーゲン」として肝臓と筋肉に貯金される
- 肝臓のタンクは寝ている間に減る=朝ごはんが大切な理由
- 練習でタンクが空に近づくと、バテる
- タンクは小さいので「まとめて」より「こまめに」が効率的
しくみが分かると、「なぜ毎食の主食、とくに朝が大切なのか」が腑に落ちてきますね。次はいよいよ、これを毎日の食卓にどう活かすか。実践編に進みましょう。
📍 このシリーズの現在地
炭水化物シリーズ(保護者向け):L1 基礎 → L2 しくみ【この記事】 → L3 選び方の実践 → 大会シリーズへ続きます。
次回予告
しくみが分かったら、次は実践編です。次回は「炭水化物の選び方|毎日の食卓での実践」。1日の中での出し方、運動前後のタイミング、選び方のコツを、すぐ使える形で見ていきます。
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Anpun Lab の記事とツールは、選手と保護者の方が栄養を一緒に考えるきっかけになるように作っています。姉妹ショップの Anpun Coffee は、注文を受けてから焙煎するコーヒーのお店で、売上の一部は競泳に打ち込む子どもたちへの練習道具の寄付に充てられます。いつもの一杯が、誰かの応援になります。
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参考文献・免責事項
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準」炭水化物の項
・農林水産省 食育・栄養に関する資料
・国際スポーツ栄養学会(ISSN)ポジションスタンド/運動とグリコーゲン・炭水化物に関する知見
・本記事の実践例の根拠:スポーツ栄養学の専門教科書(炭水化物・糖質の章)より、グリコーゲンの貯蔵としくみ(p.2〜4)、運動前後の糖質補給(p.8〜12)、朝食と肝グリコーゲン(p.19)
体の中のしくみはやさしく単純化して説明しています。実際にはさまざまな要素が関わります。この情報は一般的な知識に基づくもので、診断や治療を目的としたものではありません。お子さんの体調や体重についてご心配がある時は、自己判断で食事を減らさず、医師や管理栄養士にご相談ください。
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