こんにちは、ともひろです。
前回のおさらい
前回は「タンパク質とは、体をつくる材料であること」、そして「成長期の子どもには特に大切なこと」を一緒に見てきました。
前回の最後に、「タンパク質は1食にまとめるより、3食に分けて摂るほうがよい」というお話をしました。覚えていらっしゃるでしょうか。
でも、こう思いませんでしたか。「どうして分けたほうがいいの?」と。
その答えは、食べたタンパク質が体の中でどう使われるのかを知ると、すっきり分かります。今日は、その「しくみ」を一緒にのぞいてみましょう。少し踏み込みますが、できるだけやさしくお話しします。
この記事で分かること
- 食べたタンパク質が、体の中でたどる道のり
- 「肉を食べたら、そのまま筋肉になる」わけではない理由
- なぜ「3食に分けて」が大切なのか(前回の答え)
- 「質のよいタンパク質」とは何か
食べたタンパク質は、体の中でどうなる?
まず、大きな流れを見てみましょう。食べたタンパク質は、体の中で次の3ステップをたどります。

① 食べる(つながった鎖の状態)
前回お話ししたように、タンパク質はアミノ酸がたくさんつながった「鎖」のような状態です。肉や魚、卵などを食べると、この鎖が体に入ってきます。
② バラバラに分解される(胃や腸で)
食べたタンパク質は、そのままでは大きすぎて体に取り込めません。そこで、胃や腸で鎖がほどかれ、アミノ酸という小さな部品にまでバラバラに分解されます。
③ 体が必要な形に組み立て直す
バラバラになったアミノ酸は、小腸から吸収されて血液にのり、全身へ運ばれます。そして体は、そのアミノ酸を材料にして、筋肉や血液、髪など「今、必要な形」に組み立て直すのです。
ここがおもしろいところで、「肉を食べたら、その肉がそのまま筋肉になる」わけではありません。一度バラバラの部品に戻してから、体が自分の設計図に合わせて作り直す——これが体の中で起きていることです。
なぜ「3食に分けて」が大切なのか
さて、前回の宿題だった「どうして分けたほうがいいの?」の答えに進みましょう。
実は、私たちの体には、アミノ酸をたくさん貯めておく「貯蔵庫」がほとんどありません。食べたぶんは、そのときに使われるか、使いきれなければ貯金のようには取っておけないのです。

たとえば、朝と昼は軽く済ませて、夜だけたっぷり食べる——という食べ方だと、夜に入ってきたアミノ酸を体が一度に使いきれず、せっかくの材料が活かしきれないことがあります。
反対に、朝・昼・夜とこまめに摂れば、1日を通して材料が途切れず、体づくりに使われやすくなる。これが、「3食に分けるとよい」と言われる理由なのです。前回のお話が、ここでつながりましたね。
わが家は「どこが空いている」? 散らすチェック
「3食に分ける」と言われても、実際わが家はどうだろう? そんな時のために、お子さんの一日をざっくり選ぶと、タンパク質が薄くなりやすい時間と、そこに足しやすい一品が見えるようにしました。完璧な配分を出すものではなく、「一品どこに足すか」を考えるためのメモです。
3食に散らすチェック
お子さんのふだんの一日を選ぶと、タンパク質が薄くなりやすい場所と、足しやすい一品が出ます。配分の正解を出すものではなく、「どこに一品足すか」のヒントです。
気づき
—
考え方を開く
体はアミノ酸を貯めておけないので、夜にまとめるより朝・昼・夜(+練習後)に散らすほうが材料として活きます。とくに朝と練習後は薄くなりやすい時間。完璧な配分より「薄い所に一品」で十分です。
これは食事を考えるためのヒントです。お子さんの体格・成長段階・体調・食物アレルギーで合う形は変わります。気になる時は、医師や管理栄養士にご相談ください。
「質のよいタンパク質」とは?
もう一つ、知っておくと役立つのが「タンパク質の質」という考え方です。
前回、必須アミノ酸(食事から摂る必要がある9種類)のお話をしました。実は、この9種類がバランスよくそろっている食品ほど、「質のよいタンパク質」と考えられています。

卵・肉・魚・牛乳などの動物性のタンパク質は、必須アミノ酸がそろいやすいのが特徴です。一方、ご飯やパンなどの植物性は、一部のアミノ酸が少なめなこともあります。
とはいえ、「植物性はダメ」という話ではまったくありません。ご飯に納豆、パンに牛乳のように、いろいろな食品を組み合わせれば、足りない部分を自然と補い合えるのです。むずかしく考えず、「いろどり豊かな食卓」を意識するだけで十分です。
「すごい食品」より、続けられる食卓
この「質」の話をすると、保護者の方から「じゃあ、いい食材をそろえないといけませんね」と身構えられることがあります。
ですが、冷蔵庫に特別なものがなくても、卵と納豆と牛乳がいつもある——
お菓子やジュースなどの栄養素の少ないものを口にするよりも、タンパク質やビタミンなど栄養のあるものを口にしやすい環境があると選手にとって体を作る習慣となります。
完璧な一皿を目指すより、続けられる普通の食卓のほうが、長い目で見るとずっと強い。最近はそう考えるようになりました。
つまり、覚えるのはこの2つだけ
ここまで「分解→組み立て直し」「3食に分ける」「質」と見てきましたが、覚えておくことは結局2つに集約できます。①材料を切らさない(朝・昼・夜+練習後に、こまめに)/②いろいろ組み合わせて質をそろえる。この2つさえ押さえれば、こまかい数字を完璧にしなくても、お子さんの体づくりはちゃんと進みます。
今日のいちばん
まずは薄くなりやすい「朝」に一品(卵・牛乳・納豆のどれか)。上のチェックで空いていた時間から、ひとつ足してみてください。
1回のちょうどよい量や、動物性と植物性の割合は、年齢・体格・食の細さで一人ひとり違います。上のチェックを出発点に、ご家庭の「これなら続けられた」を見つけるのがいちばん。その工夫を、ぜひ聞かせてください。
あなたのご家庭ではどうですか?
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。最後に、ぜひ教えてください。
- 食事で「組み合わせ」を意識することはありますか?
- 朝・昼・夜で、タンパク質が偏っていないか思い当たることは?
- お子さんが好きな、タンパク質がとれる一品はありますか?
ご家庭それぞれの工夫が、他の保護者の方にとっても、そして私にとっても学びになります。コメント欄で気軽に聞かせてください。
この記事で分かったこと
- 食べたタンパク質は「分解→吸収→組み立て直し」の3ステップで使われる
- 「肉を食べたら、そのまま筋肉になる」わけではない
- 体はアミノ酸を貯めておけないから、3食に分けると材料が活きる
- 必須アミノ酸がそろう食品が「質のよいタンパク質」
- いろいろな食品を組み合わせれば、自然とバランスがとれる
しくみが分かると、「なぜこまめに、いろいろ食べるとよいのか」が腑に落ちてきますね。むずかしく考えず、毎日の食卓のいろどりを少し意識する——それが、お子さんの体づくりの近道だと思います。
次回予告
ここまでで「タンパク質とは何か」「体の中でどう使われるか」が見えてきました。次回からは、いよいよ実践編。「では、毎日の食事で具体的にどう取り入れる?」という、すぐ使える選び方・組み合わせのコツを一緒に見ていきます。
参考文献・免責事項
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準」たんぱく質の項
・農林水産省 食育・栄養に関する資料
・スポーツ栄養に関する研究レビュー/タンパク質摂取の分配に関する知見
免責事項
このブログの情報は、一般的な栄養に関する知識に基づくものです。医学的な診断や治療を目的としたものではありません。お子さんに食物アレルギーや特定の健康上のご心配がある場合は、医師や管理栄養士にご相談ください。
著者:知弘(Tomohiro)について
水泳コーチの資格を持ち、これまでにNSCA-CPT(パーソナルトレーナー資格)を取得して学んだ経験もあります。日本代表選手との練習経験を活かしながら、スポーツトレーニングと水泳について学びを深め、その内容が皆さまのパフォーマンス向上と健康づくりに少しでもお役に立てればという想いで、日々活動しています。皆さんからの質問や経験が、私自身の学びになっています。
コメント