こんにちは、知弘です。
前回のおさらい
前回は「タンパク質は、練習で壊れた筋肉を直す材料であること」、そして「選手は一般の人より多く必要で、3食+補食に分けるとよいこと」を見てきました。
前回、「練習後の補食が大事」というお話をしました。でも、こう思った人もいるはずです。「なんで、練習の”後”なんだろう?」と。
その答えは、食べたタンパク質が体の中でどう筋肉に変わっていくのか、その流れを知ると見えてきます。今日は少しだけ体の中をのぞいて、「練習後がカギ」の理由まで一緒にたどってみましょう。
この記事で分かること
- 食べたタンパク質が、筋肉に変わるまでの流れ
- 「肉を食べたら、そのまま筋肉になる」わけではない理由
- なぜ「練習後」と「3食に分ける」が大切なのか
- パフォーマンスにつながる「質のよいタンパク質」とは
食べたタンパク質が、筋肉になるまで
まず、大きな流れを見てみましょう。口に入れたタンパク質は、体の中で次の3ステップをたどります。

ポイントは②と③です。食べたタンパク質は、そのままでは大きすぎて体に取り込めません。だから胃や腸でアミノ酸という小さな部品にまでバラバラに分解され、小腸から吸収されて血液にのります。そして体は、その部品を使って壊れた筋肉を「今、必要な形」に組み立て直すのです。
つまり、「鶏むね肉を食べたら、その肉がそのまま自分の筋肉になる」わけではありません。一度バラバラの部品に戻して、自分の体の設計図どおりに作り直す。これが体の中で起きていることです。
なぜ「練習後」がカギなのか
ここで、前回の宿題だった「なんで練習の”後”なの?」に進みましょう。みなさんが泳ぐと、筋肉は細かく壊れます。そして、その練習の後、しばらくの間は、体が壊れた部分を直そうと「材料」を特に必要とする時間になります。

このとき、体には材料となるアミノ酸が必要です。でも、私たちの体はアミノ酸をたくさん貯めておく「貯蔵庫」をほとんど持っていません。つまり、練習後に何も食べないと、いちばん直したいタイミングで材料が手元にない、という状態になってしまうのです。
反対に、練習後におにぎりと牛乳をひと口でも入れておけば、体は「待ってました」とばかりに修復を進められます。そして、朝・昼・夜とこまめに摂れば、1日を通して材料が途切れません。「練習後の補食」も「3食に分ける」も、根っこは同じ理由——材料を切らさないため、なのです。
パフォーマンスを支える「質」の話
もう一つ、知っておくと差がつくのが「タンパク質の質」です。前回ふれた必須アミノ酸(食事から摂る必要がある9種類)。実は、この9種類がバランスよくそろっている食品ほど、修復の材料として活きやすいと考えられています。

卵・肉・魚・牛乳などの動物性は、必須アミノ酸がそろいやすいのが特徴です。ご飯やパンなどの植物性は、一部が少なめなこともありますが、「植物性はダメ」という話ではありません。ご飯に納豆、パンに牛乳のように組み合わせれば、足りない部分を補い合えます。練習後の補食も、おにぎり”だけ”より、牛乳やヨーグルトを足すと、材料がぐっとそろいやすくなります。
頭でっかちにならないために
……と、ここまでしくみを語ってきましたが、ひとつ伝えたいことがあります。これを全部きっちり守ろうとして、食事が”勉強”になってしまうと、逆に続きません。私が見てきた中でいちばん強いのは、しくみを完璧に覚えた選手ではなく、「練習後はとりあえず何か口に入れる」が体にしみついている選手でした。理屈は、続けるうちに後から活きてきます。まずは練習バッグに一つ、補食をしのばせておく。今日できるのは、それだけで十分だと思います。
私がいまだに悩んでいること
偉そうにタイミングの話をしましたが、実は私の中でも答えが揺れている部分があります。「練習後がよい」とは言うものの、どのくらいの幅で考えればいいのか。朝練と午後練、二部練のときに、どう材料を散らすのがベストなのか。そして、練習後にどうしても食欲がわかない選手に、何をどう勧めるのが現実的なのか。このあたりは、選手それぞれの胃の強さや生活リズムで変わるので、いまも試行錯誤の連続です。もし「自分はこのタイミングで、これを食べたら調子がよかった」という発見があれば、ぜひ教えてください。みなさんの実体験が、いちばんの教科書です。
あなたはどうしていますか?
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に聞かせてください。
- 練習後、いつ・何を食べていますか?
- 「これを食べると調子がいい」という補食はありますか?
- 逆に、練習後に食欲がわかなくて困ることはありませんか?
みなさんの「自分なりのやり方」が、他の選手にとっても、私にとっても大きなヒントになります。コメント欄で気軽に教えてください。
この記事で分かったこと
- 食べたタンパク質は「分解→吸収→組み立て直し」で筋肉になる
- 「肉を食べたら、そのまま筋肉になる」わけではない
- 練習後は体が材料を求める時間。でもアミノ酸は貯めておけない
- だから「練習後の補食」と「3食に分ける」が大切
- 動物性は質がそろいやすく、植物性は組み合わせで補える
しくみが分かると、「なぜ練習後なのか」が腑に落ちてきますね。むずかしく考えず、まずは練習バッグに補食を一つ。その小さな習慣が、次のレースのあなたを支えてくれます。
次回予告
ここまでで「タンパク質とは何か」「どう筋肉になるか」が見えてきました。次回は実践編。「練習後に何を、どれくらい食べる?」という、すぐ使える補食の選び方・組み合わせを具体的に見ていきます。
参考文献・免責事項
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準」たんぱく質の項
・国際スポーツ栄養学会(ISSN)ポジションスタンド/タンパク質と運動
・スポーツ栄養に関する研究レビュー/運動後のタンパク質摂取に関する知見
この情報は、一般的な栄養に関する知識に基づくものです。医学的な診断や治療を目的としたものではありません。食物アレルギーや健康上の心配がある場合は、医師や管理栄養士にご相談ください。

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